この記事で伝えたいこと
ざっくり編:カメラがどうやって写真を映しているかの全体像
まあまあ編:センサの内部はどうなっている?
しっかり編:フォトダイオードの仕組みと色情報の取り出し方
皆さんこんにちは。
おいしい焼き肉を食べたら胃もたれを通り越して体調不良になった筆者です。
おなかの弱さもここまで来ると罪です。
この記事ではカメラ初心者の自分が勉強したことを記録として残していこうと思います。それがほかの人の役に立てば幸いです。
間違いの指摘やさらなる知識を授けてくださる方は大歓迎です。どうぞよろしくお願いします。
記念すべき第1回はカメラの仕組みにフォーカスしていきます。
カメラを使ってどうやったらきれいな写真が撮れるのか?ということは調べる人も多いかと思いますが、そもそもカメラってどうやってこの世界を記録しているのだろうということについて調べる人は多くないかもしれません。
せっかくカメラを使うのであれば、やっぱり中身は知っておくべきかなと思います。
自分なりに調べてまとめたことを、ざっくり編、まあまあ編、しっかり編の3つに分けました。
自分が知りたい情報に合わせてみて言っていただければと思います。
ざっくり編:カメラがどうやって写真を映しているか?
レンズが作り出した像をセンサ部が認識。
センサを構成する微細なフォトダイオードが像の色を認識して画像になる
まずはカメラの仕組みの全体像を見てみましょう。。。
カメラは大きくレンズと本体に分けられます。レンズが被写体の像を作り出し、それをセンサが読み取る、というのがざっくりした構造ですね。
レンズが像を作るところについてはよく見おぼえがある人も多いかと思います。理科の授業でやったやつですね。
レンズに入ってきた光は焦点を介して反転し、反対側に像を作り出します。倒立実像というやつです。
そしてその像はマイクロレンズやラカラーフィルターやらよくわからないものを介してセンサに届きます。
センサはフォトダイオードという細かい素子で構成されていますが、この素子一つ一つが色を認識することで、写真が出来上がるわけですね。
一般的に言う画素数というのはこのフォトダイオードの数のことです。
フォトダイオードが読み取った色情報は取りまとめられてRAWという画像形式で出力されます。
RAWはカメラを扱う皆さんならよくご存じかと思います。
まあまあ編:センサ内部はどうなっている?
マクロレンズで集光、カラーフィルターでR,G,B成分に分解、センサでR,G,B成分の強さを読み取る。読み取ったR,G,Bを足し算して色に変換
ここまでの説明でふむふむという人もいれば、次のような疑問を持つ人もいるかもしれません
「センサ内部ではどうやって像を写真情報に変換しているの??」
この疑問に対する僕の調査結果をお伝えしていきたいと思います。
まずは直接センサとは関係ありませんが、マイクロレンズとカラーフィルタについてもお話しします。
マイクロレンズは、集光してセンサに当たる光を強くしています。これがなければ光が弱くなり、センサが光を認識することが困難になります。
そしてマイクロレンズを通った光はカラーフィルターを通過します。このフィルタがすごく大事です。
実はセンサは直接色を認識することができません。その強さしか判別することができないのです。
色を識別するにはどうしたらいいでしょうか?それは、光の三原色に分解することです。
人間の目に見える色は、光の三原色である赤、緑、青の強さがわかれば、その足し算ですべて表すことができます。
なので、いろんな波長(色)が集まった光をあえてカラーフィルターに通して赤(R)、緑(G)、青(B)に分解することで、色を認識できるようにしているのです。
しかしそうすると、1画素=1フォトダイオードに対してRもしくはGもしくはBのうちのどれかの色の強さしかわかりません。それでは色を表すことができませんから、R,G,Bの三原色を隣り合わせに配置しているのですね。
そうすれば、近似的に同じポイントでのR,G,B成分を確認することができます。
このように左上から右下にかけてRGGBと配列しているフィルタの並べ方をベイヤ配列といいます。
別にRGGBの順番が絶対に正解というわけではなく、赤や緑の数や配置をいろいろ変えてもOKです。しかし、現在のところ多くのメーカーがこの並びを採用しているようです。
また、R,Bが1つであるのにに対してGが2つの理由は、人間の目が緑を認識しやすいようにできているからのようです。だからセンサ部のみを見ると少し緑がかっているんですかね…?
ここまでお話しするとわかるかと思いますが、厳密にはR,G,Bはそれぞれ少しずれたところで認識されます。
なので、そのポイントでR,G,Bの足し算をしてしまうと厳密には少し誤った計測をしていることになります。
現代のカメラはこれを画像処理エンジン(カメラ内部にある頭脳)にて補正しているようです。
しっかり編:フォトダイオードの仕組みと色情報の取り出し方
フォトダイオードは半導体。光を浴びるとその量に応じて電荷を蓄積する。
蓄積した電荷を画素ごとに順番に取り出すことで光の強さを画素ごとに認識し、写真にしている。
ここまでで、カメラのセンサがどのように色を認識しているか、ということについてはご理解いただけたかと思いますが、私はここで以下の2つの疑問が残りまました。
・フォトダイオードはどうやって光の強さを認識するのか?
・認識した光の強さをどうやって数字に変換し、画像情報として取り出しているのか?
これらについてもう一歩踏み込んでみようと思います。
フォトダイオードはどうやって光の強さを認識するのか?
これを知るにはフォトダイオードの中身を知る必要があります。フォトダイオードにもいろいろな種類がありますが、もっとも単純な構造であるPN構造を見ていきたいと思います。
PNってなんだ!泉ピ○子か!!と怒り狂いそうになるかもしれませんが、PとNは半導体の名称です。
まず、半導体というのは導体と絶縁体の中間です。導体は電気を通す物体(金属など)、絶縁体は電気を全く通さない物体(ゴムなど)ですから、半導体とは半分電気を流す物体ということになりますね。
半導体の材料としてよく使用されるものにケイ素があります。ケイ素は自由電子と呼ばれる原子同士の結合に使うことができる原子が4つ余っています。下のようなイメージですね。イラストは普通に気持ち悪いですが…。
この自由電子同士をケイ素が分け合って共有することで、非常に安定します。つまり、電子が住む場所を見つけて安定している=絶縁体ということになります。
しかし、ここでこの中のケイ素1つを別の物質に置き換えたらどうなるでしょうか?
例えば自由電子がケイ素より1つ多い5個のリン(P)に置き換えると、ケイ素と結合した後も自由電子がまだ一つ余っています。
つまり、少しだけ電気的に不安定になって、電気を通すようになりました。これがn型半導体です。
一方逆に自由電子の数がケイ素よりも1つ少ないホウ素(B)に変えたらどうなるでしょうか?
電子が一つ足りないことになり、これまで少し電気を通すようになりました。これがp型半導体です。
この空席をホールと呼ぶそうです。
さて、ここまででp型半導体とn型半導体の説明が終わりましたが、これらをくっつけたらどうなるかを見てみましょう。
p型半導体とn型半導体をつくっつけたときに起こることを①~④にまとめましたので、順を追って説明します。
①②
p型半導体はホールが多く、n型半導体は自由電子が多いですから、近しいところにある電子とホールは互いに引き合って結合することで消滅します。(正確にはホールはただの空席なので自由電子が動いているだけなのですが、一般的に解釈を容易にするためにホールが動くとみなすこともあるようです。)
ちょうどプラスとマイナスが打ち消しあうイメージですね。
③
そうすると、間にはホールも自由電子もない空間が生じます。これを空乏層といいます。
空乏層はn型半導体とp型半導体の両方にまたがる形で発生しますが、それぞれ本来あったものがなくなっているわけですから、n型半導体は自由電子がなくなり+に帯電、p型半導体は自由電子が入ってくることでマイナスに帯電します。
④
するとこれらの間で電位差が生まれますから、電界が発生します。いわば電子にとってはn型素子に向かって風が吹いているような状態ですね。(電子は電界と逆向きに飛んでいきます)
この状態で空乏層に太陽光が当たると、そのエネルギーで電子が飛び出し、空乏層と電子に分かれます。(下図)
電子にとってはn型素子に向かって吹く風、電界がありますから、そのまま飛ばされてn型素子にたまります。
光が強ければ強いほど、エネルギーが大きく飛び出す電子も多いということですね。
この電荷量が光の強さを表すわけです。
以上がフォトダイオードが光を電荷=数字に変換する仕組みでした。
認識した光の強さを画像情報に変換するまで
先ほどまでの解説で、光の強さを電荷量に変換し、フォトダイオード一つ一つに蓄えることができることはわかりました。
ここからは、そのたまった電荷を取り出して集計しなければなりません。
この取り出し方は、センサ方式であるCCDとCMOSで異なります。
この記事ではさいごにこのCCDとCMOSについて触れて終わりたいと思います。
★CCD
CCDはCharge Coupled Deviceの略称で、各フォトダイオードに蓄積した電荷をバケツリレーの要領でアウトプットしていきます。
図のように格子状に配置されたセンサ情報を1行ずつ取り出していきます。初めに一番下の行、次にその上の行、といった形ですね。
そして読みだした電荷を増幅器にかけて、電圧値として読み取っています。
この方式は、電荷を順番に読みだしていくことになりますから、どうしても読み出し速度が遅くなってしまいますが、画質が良いというメリットもあります。
これは後程触れるCMOSセンサと比べて、ということになりますが、ノイズが発生しにくい構造をしているからということになります。
★CMOS
CMOSセンサは画像素子ごとに増幅器が付いています。
ですから、CCDと違って全部集計してから増幅、読み出しをしなくても、素子ごとに処理を行うことができるので非常に高速です。
しかし、弱点としてノイズが乗りやすいというポイントがありました。ただし、これは昔は、のはなしです。
どうしてノイズが乗りやすいかというと、素子ごとに増幅器と読み出し機を持っているため、それぞれの読み出し機と増幅器のクオリティにばらつきが発生してしまいます。その影響を受けてノイズが発生してしまっていました。
ただし、技術の進歩でこのばらつきは抑えられ、もはやその画質はCCDセンサに匹敵するほどになりました。
そして、CMOSにはCCDに比べて先ほど述べた通り読み出し速度が速いほか、消費電力が小さいというメリットがあります。
同等の画質で、さらによいことがあれば、CMOSセンサのほうが普及するのはもはや当たり前ですよね。
余談ですが、現代のカメラはのほとんどはCMOSです。各社のフラッグシップ機(CANONであればEOSR3、NIKONならZ9、Sonyであればα1など)であってもすべてCMOSセンサです。
一部の医療用高画質カメラとかのみCCDがいまだに使われていたりするみたいです。
さいごに
ということで今回はカメラの基本的な仕組みについて、センサの中身のフォトダイオードまで掘り下げてみてきました。
今回はセンサに強くフォーカスして調べてみましたが、シャッターの仕組みやミラーレス一眼とミラーありの一眼の違いなどについてもまた調べてまとめていこうと思います。
それでは今日はこの辺で。
【参考記事】
・カメラの仕組みはどうなっているの?
・デジタルカメラ講座:カメラの原理と種類
・カメラってどんな仕組みで写真がとれるの?
・キヤノンサイエンスラボ:CCDセンサー
・Andor製品技術資料:CCDの種類と読み出し機構
・3分でわかる技術の超キホン イメージセンサとは?CCDとCMOSの違いは?
・フォトダイオードとは?使い方と原理動作
・CCDイメージセンサの種類
・【カメラ・イメージセンサ】スミア・ブルーミングとは?
・n型半導体、p型半導体とは
・デジタルカメラ講座:CCD(撮像素子)の仕組み
・フォトダイオード(PD)の構造や原理とは
・太陽電池の原理
・デジタルカメラ講座:CMOSセンサーの仕組み
・CMOSセンサーとCCDセンサお違いと産業用カメラのトレンド
・CCDとCMOSの違いは?画質を決めるイメージセンサについて
・カラーフィルタとCMOS|画像処理に必要な2つの関係性
・Optical Learning Blog
・第5回 デジタルカメラのカラー表現
・いまだ謎多き水分子構造の世界 ーその意外な構造と運動様態の秘密に迫るー
現在技術系の職員として会社員勤務する傍ら趣味のカメラをもう少し発展させたいと思って奮闘中。
今日もカメラと生きちゃった。と思えるくらいカメラとの時間をどんどん増やしていきたいと思っています。
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